起業や海外での仕事を目指す方なら、「MBA」という用語を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?
MBA(エムビーエー)とは、『Master of Business Administration』の頭文字をとった略語で、日本でいえば「経営学修士」という学位にあたるものです。欧米のビジネスシーンでは大変メジャーな学位であり、ビジネススクールと呼ばれる経営大学院を修了すると授与される修士号を指します。
MBA取得プログラムの最大の焦点は、未来の起業経営者や、経営をサポートするビジネスプロフェッショナルを短期間に育成することにあります。ビジネススクールでは、主に社会人を対象に、事業経営に必要な知識やスキルを修得するためのMBAプログラムを提供しています。例えば、アメリカではハーバード大学、スタンフォード大学、ペンシルヴェニア・ウォートン大学等が、日本国内ではグロービス経営大学院、明治大学専門職大学院、国際大学大学院などが名門ビジネススクールとして知られています。海外で取得する場合は、通常、アメリカでは2年制が多く、イギリス・オーストラリアでは1年制のスクールが主流です。気になる費用は、取得方法・スクールによってかなりの差が出てきます。
こういったMBA取得プログラムでは、組織にとっての経営資源であるヒト(人的資源管理)、モノ・サービス(オペレーション、マーケティング)、カネ(財務会計)、情報、などに関わるテーマを体系的に、短期集中的に学ぶことができます。これに経済力学を理解するためのマクロ経済学およびミクロ経済学が加わり、基本的なMBAの科目が構成されます。
日本では長い間、「経営」とは主にアカデミックな研究領域でした。そのためひと昔前までは、研究者育成のための純粋な学問としての「経営学」とは違い、実務に使える実践的な経営を学びたい人は、大学院で「名経営者の人物研究」といった部分を学ぶといった間接的な勉強方法に留まらざるを得ませんでした。
ところが、ボーダーレス化が急速に進む中で、そしてグローバル化にも後押しされた形で、経営戦略やM&A(企業合併)といった「国際標準」としての経営知識およびスキルの格差が企業収益に大きく影響し始めたことによって、近年では日本でも実践的な欧米流MBA教育がようやく注目され、大学院等のコースとして展開されるようになっています。